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02:NGOで医療系を第14章 結婚と子育て
Y: 1年いきました。戻って27歳。その後、助産師の学校に1年いって28歳。この段階で、青年海外協力隊に半年ごとに応募しながら、NGO/NPOウォーカーみたり、JANICの求人広告をみながら、各NGOのボランティアスタッフ募集を探すと。
C: はい。
Y: 青年海外協力隊は、なかなか受からないから、NGOで適当なのがあったらそっちにへ行くと。
C: はい
Y: いいと思うよ。どう?
C: はい(笑顔)
Y: あとは、結婚。
C: は?
Y: 国際協力をやる人で、最大のネックになるのが結婚だ。特に女性の場合、出産と育児の関係で問題になる。国際協力はやりたいけれども、早く結婚して子ども生みたいという女性が、割と多い。両方の夢をもっている子が多いんだ。そういう子が、俺のところへもいっぱいくる。結婚願望、あなたはどうなの?
C: 考えたことないんで、まだよくわからないです。
Y: 本当に?意外!そうなんだ。では、結婚願望は強くない?
C: どうなんですかね。考えたこと、あまりないですけど(笑)結婚願望が強いと、なにかネックになるんですか?
Y: 普通なるよ。国際協力がやりにくい。やるとしたら、国連かJICAへいくしかない。NGOでは難しい。国連やJICAというのは、7割の人が先進国側にいるんだ。日本、アメリカ、ヨーロッパなど、アジアでもかなり発展した国にいる。残りの3割の人も、途上国へ行っても、首都、または地方でも大きな町にいる。そこに大きなビルを建て事務所をつくって、クーラーのきいた部屋でパソコンを打って仕事をする。もちろん例外もあるが。そこには子どものための学校もあったり、医療設備もそれなりに揃っているので、家族を連れて行けるんだ。なんでもあるから。首都は安全だし。また、給料も高額で、結婚するためのお金、子どもを育てるためのお金がそもそもあるということ。そして扶養家族が控除されて、給料が増え、税金が減るなどの面もある。
ところが、NGOにはそれがない。すべてがない。NGOは現場に行くので、そこには子どものための学校も病院もない。そもそも色々な意味で危険だ。戦争、病気、強盗など。給料が安いので、結婚資金も子育てのお金もない。まともに勤務して正社員になっているケースは少ないので、保険証の問題や、その他さまざまな控除がなかったりする。また、団体によっては、夫婦の同一地域への派遣を禁止しているケースもある。ともかく主に経済的なことが原因になって、結婚は難しい。結婚はそうでもないが、子どもを作って育てるのは難しい。これがあるので、国際協力を続けていくうちに、いつのまにか間違いがおきて、子どもが「できちゃった」ときに、それを機会にNGOをやめてしまって、国際協力をやめて一般の会社に就職する人が、男性では多い。収入の安定のために。これが男性版の「寿退社(ことぶきたいしゃ)」と言う。NGOの同僚から、辞める時にそう呼ばれる。皮肉なものだ。女性の場合は、単に(NGOを)辞めてしまう人が多い。産休(中の給料保証)があるNGOは、極めて少ない。
そこで、さすがに、国際協力自体を止めたくない人は、さっきから言っているコーディネート業務に移動するんだ。NGOの上級職にしろ、JICA専門家にしろ、国連にしろ、給料が高額で、ある程度安全な場所に事務所があり、家族を連れて行くこともできる職場。そちらに移っていくということだ。あまりきついことを言うと、やる気をなくされると思うのでこの辺で止めておくけれど、現実はそんなところだ。「子どももできちゃったし、コーディネート業務に移ろうか?」という感じ
C: はい(笑)
Y: ともかく10年後に、あなたにもう一度会ってみたいね。楽しみにしているよ。そのころ、どんな団体で活動しているか楽しみだ。
C: はい(笑)
Y: 俺の本は、何を読んだの?「世界で一番いのちの短い国」だけ読んだの?
C: いえ。「アフガニスタンに住む彼女からあなたへ」も読みました。
Y: そう。では、レベルあがってるはずだけどね。本当に意味のある国際協力を考えるための素地が。最新刊の「世界と恋するおしごと」ではね、37名の人や団体が出てくるけど、アムダの岡本さんのところだけは絶対に読んで。女性の看護師だから。
C: はい。