トップページ» 02:NGOで医療系を

章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

02:NGOで医療系を

第11章 国連の仕事と国連への道

山本(以下Y): ともかくJICAの仕事は、そんなにつまらなくはないよ。そして最後が国連だ。国連で医療系にからむのは2つだ。WHOユニセフだ。この2つは、全く逆の方向性を持っている。WHOは、完全にお役所仕事で、国際法という法律を作ったり、鳥インフルエンザ、エイズ、マラリアのような世界的に流行する病気を一気に予防するような取り組みをする。だから、本部で会議をしたら、その結果として作られた法案を各国にやらせる、命令する、という立場だ。主に各国が空港や港で、感染した人間をどうやって国内に入れないようにするか、それでも入ってきてしまった場合、どのように対応をするかなどを事前に決めておく、という仕事だ。だから当然、いわゆる医療系の現場には行かない。全く行かない。このWHOと、まったく逆の立場をとるのがユニセフだ。ユニセフは、WHOとまったく逆にある意味、NGOに近い。現場に割りと近い。もちろんコーディネート業務が中心だが、WHOにくらべれば、ずっと現場に近い。現場に学校や病院などを作り、子どもを守ろうとする。あとは、子どもの飲む水と衛生に注意し、栄養状態を改善するなど。

よく4本の柱というのですが、1.教育、2.保健医療、3.子どもの保護、4.水と衛生、がそれだ。だから、あなたの将来の可能性のひとつに、ユニセフというものも選択肢に入ってくる可能性はある。

ちゃーちゃん(以下C): はい

Y: WHOにしろユニセフにしろ、国連に入るには、JPO試験というのがあって、これに応募するための条件が、以下の4つ。
1.35歳以下
2.英語力
3.大学院修士
4.2年間の海外勤務経験(これがない年もある。)
というわけで、このために海外勤務の合計を、最低2年やることが重要になってくるんだ。あと、大学院修士を取っておくことも必要。

また、JPO試験が難しい場合、とりあえず国連ボランティアに行くという選択肢がある。これは、国連版の青年海外協力隊だ。これに参加するには、社会人経験が5年以上必要なんだ。だから、卒後の勤務経験を5年以上にしといたほうがいいよ。

ピンとこないとは思うけど、今言ったような様々な職場が、将来の可能性としてはちょっとずつあるということだ。

C: はい。

Y: これから10年後ぐらい、もしも国際協力をあなたが続けているとしたら、おそらくきっと俺が今日話したことを思い出して考えていると思う。様々な職場が、国際協力の世界にあることを。そういうものなんだ。現場の活動から、やがてコーディネート業務へ移り、その地域を良くしよう、その国全体を良くしよう、世界全体を良くしようと。

C: はい。

Y: 俺の本は、何、読んだの?

C: 世界で一番いのちの短い国です。

Y: では、あなたの中には、本当に意味のある国際協力とは何かを考える要素が、既に入っている。それであるならば、2年間、自分で実際に国際協力をやった時に、そうか、国連やJICAがやっていることも、やっぱり必要なんだ。と思える素地ができあがってくると思う。あなたが自分でやらなくてもいいけど、国連やJICAの活動も必要なんだということだけ認識してくれればいい。

C: はい。

Y: 現段階では、現場から遠い国連やJICAの話しなどピンとこないと思うから、とりあえず今の段階では、英語を勉強して、小児科、産婦人科など色々勉強しておくのが重要だと思うよ。というのが、ひとつ目の質問の答えだよね。他に何がききたいの?

章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14