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02:NGOで医療系を

第10章 JICA専門家への道

Y: ここからは、NGOではない、国連やJICAへの道だ。さっきから言っているように、2年ぐらい続けてみると、卒業して5年間で貯めたお金もなくなるし、NGOはやっていけないってことになる。やっぱりJICAか国連いかないと。って思う人が多い。圧倒的、半分以上。

C: はい。

Y: というより、国際協力をはじめた人のうちの7割は、すぐやめる。残った3割は続けるけれど、その半分以上は、国連、JICAを目指す。そのために、大学院修士を取るということだ。欧米の大学院で1年でとるか、日本で2年でとるか。最終的には、医療系の場合は、JICA専門家を目指すのが、恐らく一番有力だ。JICA専門家のいいところはね、例えば青年海外協力隊に行ったあとに、ジュニア専門員っていう制度があって、奨学金を出してくれる。そのお金でなんと無料で、大学院などに通わせてくれる制度まであるんだ。これに似た制度に海外長期研修制度国内長期研修制度などもある。こうした奨学金制度が充実しているのも、JICAの美味しいところなんだ。そのお金で大学院へ、無料で通い卒業する。その後、JICA専門家になって、高額の給料を貰う。という美味しいコースが確立されてるんだ。わかる?青年海外協力隊から、ジュニア専門員、そして、JICA専門家。また、新宿国立国際医療センターは、知ってる?

C: 知らないです。

Y: 知らないんだ。そこに35人ぐらいだったかな?ともかく有給の枠があって、ここが医療系のJICA専門家の溜まり場になっているんだ。それを国際医療協力局という。ここに就職するのが最も良い方法のひとつだ。続けていくには。

C: はい。

Y: ただ、この国立国際医療センターには、2つの部署があって、普通の一般病院と国際医療協力局がある。この2つは全然関係ない。だから、病院部に就職しても、国際協力にはいけない。しかし、国際医療協力局は、定員が決まっているためあなたが「お礼奉公」が終わるちょうどその年に、偶然空席がでる可能性は低い。だからまず、病院に就職し、空席が出るのを待つという手はある。病院と国際協力局は近いから、しょっちゅう顔を出して覚えてもらい、空席がでたらすぐその話しを回してもらうようにする、という方法はある。

C: はい。

Y: ここに就職できれば、高額の給料が保障される。ただし、ここは先ほどから言っているコーディネート業務といって、途上国の保健医療の政策を作る仕事をする。直接患者さんを診るような仕事はしない。もう少し正確にいうと、5つの仕事があって
1.プロジェクト前の事前調査、計画作成
2.直接的、医療行為(医師・看護師が、患者を診る)
3.現地の医療従事者への教育、またそのシステム構築
4.政策の提言(国レベル、地方レベル)
5.プロジェクト後の評価、フォローアップ)
などだ。そのうちほとんどの仕事は、1.事前調査、3.教育、4.政策提言、なんだ。

C: はい。

Y: 今、つまらない仕事だと思ってるだろうけど、そんなにつまらなくはない。病院のスタッフに、いろいろ指導するのは楽しいし、教育をベッドサイドで行うこともできる。自分がやりながら教えることもできる。現場にも、ある程度近い。何より自分のやったことが、確実に未来に残っていくんだ。これはNGOにはない魅力なんだ。

補足すると、NGOの作った病院というのは、そのNGOが撤退してしまえば作った病院も消滅する可能性がある。その国の政府がひきとってくれる保証などないからだ。その点、JICAの仕事は、はじめからその国の政府と協力するため、確実に未来に残る、意味のある援助になる可能性があるんだ。もちろん逆に援助が、政治家の賄賂・利権に使われるという欠点も多いけど(笑)。

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