NPO法人 宇宙船地球号 補足サイト

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民間組織 01 国際環境NGO FoE ジャパン 野口栄一郎さん、35歳、男性

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インタビュー:黒川

書き起こし:海老原、深井

文章校正:山本、ご本人

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パート8.<ウデヘ族の生活>

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黒川 先程の活動をされている地域に住んでいる先住民族、ウデヘ族の方達は、インターネットはされるんですか?

野口 えっとですね。インターネットのことは知っています。で、インターネット使ったことある人も、いますね。というのは彼らが住んでる村は、街から車で4時間くらいの所です。ただあの村の中は、電話回線というか・・。電話は通じるんですけれど、その通信速度が非常に遅いんです。ネットには遅すぎると思うんですね。ただ、車で4時間走れば、ハバロフスクとかの街に出られます。それから、村で生まれ育ったけれど、街で暮らしている人達もいますから。当然ロシア都市部では、普通にインターネットも使えますし。皆、自分のメールアドレスを持ってパソコンで、毎日友達とやり取りしていて、仕事にも使っていますからね。

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野口 だから、村のウデヘ族の人たちも、当然自分で使ってみたり、友達とか家族が、インターネットとか、電子メールやってみたっていうのを、経験していたりします。街ではもう携帯電話が、すんごい普及していたりしますね。この村も数年後にはアンテナが立つんで、使えるようになるんじゃないかと言われています。ハイテクの波が押し寄せていますが、それをあまりネガティブに受け止めないように、ええ、自分とかはしていますね。

黒川 う〜ん。

野口 っていうのは、そこに行くと分かるんですけれど、彼らのいい部分、いい部分っていうか、彼らの、その体、その魂の中に生きてるもの。あのー鹿を狙いに、仕留めにタイガに出かける、1週間出かける。でタイガでは焚き火から、飯の準備から、寝床作りから、自分でやる。そういうのを、彼ら、自分でやってますから。

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黒川 虎は森の神様ですか?

野口 トラはー、そうですね。トラとこの人達は、本当に、同じ森林地帯で、一緒に暮らしているんです。んー、トラに対する、敵意とか憎しみはないですね。もしかすると、南関東と同じ位の面積なんですけれどね、この森林地帯は。それだけの面積にトラ50頭、それからウデヘの人達は数百人です。タイガに、狩(かり)に出かける猟師っていうと、50人位だと思いますね。だから東京、神奈川、千葉、埼玉あわせた位の面積の森林地帯の中で、50頭の虎50人の猟師くらいだと、憎しみあわずに生きていけるっていうことかもしれません。

黒川 う〜ん。

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野口 はい。もしここに日本みたいな規模で人口が流入したり、森林がどんどん切り拓かれたりしたら、ま、インドやなんかでは、もう問題になっていますけれど。その人間の居住する地域が、どんどんトラの生息域に、こう進出、拡大していっちゃって、トラと人間の衝突が起きる。具体的には、家畜とか人間自身がトラに襲われたり。でー、怪我をしたり死んだりっていうことが起きるでしょう。ここはともかく広い、とにかく人口密度が低いので、今のところ、トラと人間が、共生出来ているんでしょうね。共生っていっても、姿を見かけたりすることはほとんどないですね。地元の人でも10年に1度か2度、見かけるかどうか。

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黒川 地元の人は、何か家畜は飼われてますか?

野口 家畜を飼う習慣は、ロシア人がここに入ってきてから。だから100年間位、過去100年間くらいでしょうね。牛、乳牛、え〜と、それから、家庭によっては、村にはウデヘの人もいますが、ロシア人もいるんですが、家庭によっては、馬、豚を飼っている所もあります。

黒川 ニワトリは育ちますか。

野口 ニワトリはねー、ニワトリ飼おうとした、友達のウデヘ人はいるんですけれど。面倒くさくなって、辞めちゃいましたね。彼の言い分は、ウデヘの猟師ですけれど、鉄砲もってタイガ行けば、肉とれんのに、何でわざわざ自分の家で育てなきゃいけないんだ(笑)。面倒くさいじゃんって。

黒川 なるほど。

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野口 日本人にしてみたら、例えば日本人とか、アメリカの白人にしてみたら、わざわざ山とか森に獣を捕りにいくのが面倒くさいから、自分たちの庭とか牧場とかで育てるわけです。だけど彼らは逆のことを言う。森行けばよく捕れるじゃん。なんで自分の家で(飼育をしなきゃいけないの)、面倒くさいじゃん。家にいるときくらい寝ていたいじゃん。えー家にいるときは男は居間でゴロゴロしていて、奥さんが良く働くんですよ。家と家のまわり、家庭の事。

黒川 えー、掃除って、ですけれど、洗濯と家事と薪を運んだり、薪を割ったりは、女性の仕事ですか?

野口 あのーね、薪割りは…。あ、いい質問ですね。あのね、ここの村の男が、大人の男が薪割りしてるのは、タイガ、狩に行った先の猟師小屋で寝泊りしているときです。その時には、男が薪割りします。(しかし、)なんかね、村の家では子どもがよく薪割りよくやってますね。

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黒川 子どもの仕事なんですか?

野口 この村の子ども達、10歳位で、斧で薪割りしています。あと知り合いの猟師の中に、良く見ると左手親指がない。どうしたのって聞いたら、10歳くらいの時、薪割ってて飛ばしちゃったって(笑)。こう、パーンといっちゃったって。薪を割っているのは、薪割り子ども。それから井戸に水を汲みに行くのも子ども。村の中に何ヶ所か井戸があるんで。そんな何キロもあるって訳じゃない(ですが)。あとそうそう、女性は家の中の仕事をしますね。で、男はタイガに、冬でも夏でも、あの、冬は寒くて、それから夏は蚊がブンブン飛んでるタイガに、鹿とか猪獲りに行って、でー孤独な狩りをして。肉を持って帰って来てくれるから、家にいるときはゴロゴロしていても、あと子供と遊んでくれたらいいって、そう捉えているような、あのー、そう考えている気がしますけれど、この村の女性は。

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