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民間組織 01 国際環境NGO FoE ジャパン 野口栄一郎さん、35歳、男性

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インタビュー:黒川

書き起こし:海老原、深井

文章校正:山本、ご本人

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パート5.<文系として環境問題に取り組む>

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黒川 その時に、あのー、生物学的な、知識って訳ではないですけれど、皆さん生物は学んでいらっしゃる方で、えっと、勉強してきてるじゃないですか?

野口 うん。

黒川 知識も無く、文学部からはいる事に何の抵抗も無かったですか?

野口 なかったですね。たぶん、自分は死ぬまで文系だと思っていたんで。あのー、なれないものになろうとしても仕方ないから。結果を先に言うと、確かに、今リコーさんとやってる活動にしても、入ってから今までやってきた活動でも、仕事活動で会う人たちは、理系の人たちが多いですね。

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野口 つまり、あのー、大事なのは、例えば、ある森林が守られること。伐採から守れるとか、密漁が阻止されるとか、世界遺産になるとか、目的が大事なのであって、それを全部自分1人の力で出来る訳ないんで。科学的な、その為に必要なサイエンティフィックな、そのために必要な仕事はサイエンティスト、科学者がやったらいいと思うし。ただ、あのー、多分、文系の人間もどっかで必要なんで。う〜ん。自分はどこかで、(組織やその活動の中に)当てはまればいいかなっていう。だから僕とか、最初のNGOに入って、森を守るんだって言って入った時点で、全く自分自身は科学者じゃないですし、サイエンティフィックな人間じゃないですし。え〜、そうじゃないって今も思っていますね。ってか、それが前提。自分が、科学者じゃないから、必要に応じて科学者の人と協力する。で、例えばサハリンやそれから、ロシアの極東で、何箇所かでロシア化学アカデミーの科学者の人たちとFoEジャパンの僕らとで協力して、新しい自然を何箇所か、指定(保護地域にすること)を実現させたとかね。えー、なので、あの…。

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黒川 現地の行政機関まで働きかけるんですか? それとも、現地で活動してる団体を交渉して?

野口 両方ですね。ケースバイケースで、どっちもあります。ええ、ただまあ、1990年代って、新しい自然保護区がロシアで作りやすかった時代ではありますね。

黒川 ふーん。

野口 あの、ゆるかったんですね。今のプーチンさんの時代よりはいろんな面でゆるくて。エリツィン大統領って人は、はっきり言って、どこに森林保護区が新しく作られようが、そんな動きが、あろうがなかろうが、そんなのを押さえつけたり取り締まったりとか、そんな大統領じゃなかったですね。そういう体制じゃなかったですね。でーあと、一方、そのロシア科学アカデミーの学者さん、研究者とか、え〜それから、そのころやっとこれで自由にものが言えるっていうんでNGOやら環境団体を作ったロシアの人たちは、ものすごい元気で。

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黒川 ふーん。

野口 でー、そこに、彼ら自身が、自分達の国の森林や川を守りたいっていう意思とか行動力とか、まあ専門性もあって。それから彼らの国ですからね。僕ら、外国人ですから。そこに一緒にやろうとか、そこに応援したい、っていう日本人の僕らとか、当時アメリカのNGOとか、アメリカの財団、とかが、あのー、人間とかお金、人数的なものとか、それからあのー、資金の面で、とにかくシベリアなど、極東のロシア人(がやっている)NGOとか、自然を守ろうとしている科学アカデミーの人たちを、応援しようって。

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野口 そういうムーブメントが人知れず1990年台にあって。その中ではそういう、ムーブメントはあったので、自分自身が科学者である必要は、全然なかったですね。逆に何か文系の人間だから、「あ、これやったらいいじゃん」っていう、「ぱっとやれ」、みたいな、身軽さはあったかもしれないですね。うーん、とにかく身軽でしたね。誰かから「やっちゃ駄目」って言われる事がなかったですね。

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黒川 うーん、えっとー、で、こちらの団体(FoE JAPAN)に入った時、何か資格とか、提示された条件を満たしていたとか?

野口 ここ当時はやりたいって言った人間は、誰でも入れましたね。ただその後続けられるか残るかは、その人次第、あと状況次第。んー、ですね。だから僕は、あれですよ。大学の学部、学士っていうんですか、卒業して学士、文学部の…。

黒川 はい。

野口 しか持ってない。

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黒川 え、そのまま、(大学)新卒でここに来た、ってこと?

野口 当時事務所は中目黒でしたけれど(注:現在は、東京都豊島区池袋)。なんで、本当に、あのー、時々自分でも、(自分に特に資格などがないことを)笑ってますけれどね。もしこのロシアに行って、?森林地帯を守る、?トラの生息地を守る、そして、それから、?昔から暮らしてきたウデヘ族の人がこれからも納得して生きていけるようにプロジェクトをやるっていうのを、例えば、理系の人でも、文系の人でも、いいですけれど、資格を持ってる人でも、持っていない人でも、いいですけれど、僕よりはるかに上手にやれる、適切にやれる人が現れたら、「はいとうぞ」って言って、代わってもいいんですけれど。そのほうが、森とか川とかトラとかにとっては、いいことですから。これから出て来るのかもしれませんね。これから現れてほしいですね。あの、(僕がやってきたのは)今まで12年間位ですけれど、結果としていなかったっていう。

黒川 12年間、じゃーずっと、こう?

野口 ロシアの極東。極東って言ってもあの、日本の20倍くらいの面積がありますけれど、あちこちいって。

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