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06:3ヵ月後からすぐはじめたい

第9章 青年海外協力隊、在外公館派遣員制度に落ちた場合

山本(以下Y): 青年海外協力隊と在外公館派遣員制度に応募しても、倍率は5~6倍だから通ったらラッキーぐらいで、落ちることを前提に考えた方がいいと思う。俺は厳しい人なんで、こういう場合は落ちること前提に考えるんだよ。その場合、4年制の大学に行く、英語を勉強する、NGOへボランティアとインターンであたる、という3つの選択肢があるんじゃないかな。こっちになる可能性の方が確率的には高いんだよ。

さいさん(以下S): そうですね。

Y: 大学入るのは嫌なの?

S: はい、時間がかかりすぎるので。

Y: そうだね。やりたいうちにやった方がいいから、在外公館は40カ国語くらいくるのね。特殊な言語は、応募件数が1~2件だから、50~100パーセントの確率で合格するのね。だから英語圏でも、人気のなさそうなところを応募した方がいいよ。

S: でもそれは、語学力がものすごく求められるわけですよね?

Y: 倍率が高いからね。だから倍率の低そうな国を狙うわけだよ。比較の問題だから、応募した人の中で一番になればいい。だからTOEFL、TOEIC、英検のどれかは絶対持っといた方がいいよね。

S: 少なくとも準1級ですよね。

Y: そうだね。TOEICは840点以上だね。TOEFLは最低で550以上、600点あった方がいいかもしれない。CBTは200以上か、できれば250以上。

Y: 当面は落ちるにしても、たぶんあなたの場合経歴からすると、在外公館派遣員が最有力だと思うけどね。

S: エイズや感染症教育も、微妙に魅力を感じつつあるんですけど。

Y: 40時間くらいの講義をタダで教わって、さらにさっき言った3ヶ月間の語学研修を福島か長野でやると。普通タダでこんな学校へ行かせてくれる制度はないので、だから青年海外協力隊は基本的には素晴らしいよ。税金1兆円のODA予算の一部を使って、あなた1人を派遣するために1千万円以上のお金が使われるんだよ。しかも月給15万円以上もらえて。だからその140の職種を見て、自分が応募できそうなのが絶対あるから、音楽とかね。普通は体育系多いけど、柔道とか。それも比較の問題だから、応募する人がインターハイ出てますといわれたら終わりだけど。他のライバルがいなければ通る可能性はある。だから運の要素もかなりあると思う。あと青年海外協力隊は俺の本にも書いてあるけど倍率が基本的に5倍だから、必ず半年ごとに最低5回は受けること。2年半くらいかかるけど。例えば5回受ければ、受かる可能性が随分高くなるよね(笑)。あと受かりやすい職種が色々あるから。教職は持ってないんだよね?

S: 持ってないです。

Y: そうだよね。他にも色々あるから。だから俺もさっき言ったようにね、問題点があるとしても、こうして一番に青年海外協力隊を勧めてる理由は、懇切丁寧に国のお金で教えてくれるからだよ。

S: 税金もったいないな。

Y: だからこんな馬鹿なプロジェクトないのね。8割以上が役にたってないのね。真面目にやってる人は1割くらいだよ。その後に目覚めて、やっぱりJICAや国連に入って素晴らしい国際協力をやろうと思う人が、1割くらいは生まれてくるからあってもいいとは思うね。9割近くがね、行ったけど思うような活動ができなくて、その中の1割は現場に行きもしないで、ずっとゲームボーイやっているというのが青年海外協力隊なんだけど。せめて現場に行ってきっちりやる方に入ってほしいよね。

S: 今、独立行政法人で、そういう無駄な予算をいっぱい見てるわけですよ。こういう活動って、まったく逆だと思ってました。

Y: 国際協力活動?違う違う。国際協力活動をする人で、立派な人なんて全然いないよ。

S: そういうの見て、またショックをうけないといけないんだろうか。

Y: そうね。現場に行ってショックを受けて働けない人がいっぱいいるので、俺はこうして割と厳しいことを言ってるけれども、実際、現場へ行けばもっとひどいわけだよ。だからこの程度でもしやる気を失くすようであれば、行かない方がいいよ。

援助する側もされる側も普通の人間がやってるわけだよ。普通の人間というのは半分悪い心を持っていて、半分良い心持ってるかもしれないよね。だから少しでも油断すれば、お金。援助される側には、お金だけせびりとろうと思う悪い人がいるし、する側も日本のお金で15万も貰って遊び歩いている。食住もタダ、そういう人がいくらでもいるのが現場だよ。

しかも職務内容が違うことも多い。それでも自分のやりたいことを導き出して、話が違ってもやりたい仕事でなくとも、2年間いるんだし税金1千万も使うんだしね。できることその場で探しだしてやるような強力な実質性と計画性が必要なんだよね。そんなことできる人はもちろん1割しかいないわけだよ。

S: 今まで仕事を趣味にしてて、他に趣味がないぐらいの。だから仕事をやりだすとそれが全てになっちゃうんですよ。

Y: いいんじゃない?だから無駄予算が多いんで嫌になったんだっけ?簡単に言うと。

S: はい。私、ひとりではどうにもならないし、おまけに無駄なことの片棒を担いでる自分が嫌で嫌で仕方がなくて、でも自分では何もできないもどかしさがすごくて。

Y: どうかな。外務省は小学校の先生が必要なところを募集することもあるけれど、実際には必要がなくとも、プレゼンスを示したい、1千万円予算を使いたいから青年海外協力隊2~3人派遣させて下さいというのも結構あるんだよ。あなたが行っても向こうでは全然来て欲しくなかったりするケースの方が多い。

S: だからといって、求められていないことまでやってはいけない?

Y: それはコーディネーター業務なんだよ。例えば小学校教師として行って、小学校でやることはないですと言われた時に、校長先生や村長さんに会って、自分がこの地域で出来ることを判断して、こういうことをやりましょうと何か見つける。青年海外協力隊は、話しをつけることは止められないよ。割と自主性に任せるっていう意味ではいい団体なんだよ。

一般的には、それは話が全然違ってるってことで拗ねちゃって、何もしない人が多いの。だからあなたに、判断する能力があるかどうかだね。これだけ俺に聞いてけば、少々嫌な思いをしても大丈夫だと思うけどね。

在外公館派遣員制度はそういうギャップは全然ないよ。

S: わかりました。

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