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第7章 主婦になり買い物で国際協力
山本(以下Y): さて、現実に戻って、買い物で国際協力ができるという話は知ってる?
すっちーさん(以下S): いいえ。
Y: では、帰ったら「世界と恋するおしごと」の最後にある「消費者でできる国際協力」という章を読んで。頼むから。4ページしかないからすぐ読めるよ。
S: はい。
Y: あなた、シエラレオネに興味があるよね?
S: はい。
Y: 端的な例を言うとね、このシエラレオネで戦争が起きている原因は日本にあるんだよ。もしかすると、あなたのお母さんが原因かもしれない。
S: え!
Y: なぜかと言うと、シエラレオネのダイヤモンドは世界最高の品質と言われているんだ。世界で一番綺麗なダイヤがここで採れる。このためヨーロッパにあるダイヤモンド会社や、イタリア、フランスなどのファッション・ブランドの会社が「このダイヤを使って指輪やネックレスを作ったら、日本の女性たちが買うに違いない。儲かる(もうかる)だろうな。」と、思ったんだ。
ところが、シエラレオネは当時ずっと内戦かつ戦争をしていたので、大統領は亡命。国が機能していない。そこで、ヨーロッパの会社はシエラレオネの隣りにあるリベリアという国に頼んで、戦争をしかけてもらった。リベリア軍はダイヤモンド鉱山を強奪し、入手したダイヤを密輸という悪い方法でヨーロッパへ送り対価を得た。そうしてヨーロッパで作られたダイヤのアクセサリーをお買い上げくださるのが、日本の女性たちだということだ。そして買えば買うほど儲かるということで、またまたファッションブランドのメーカーは、リベリアにお願いしてシエラレオネで戦争を起こし、ダイヤモンドを奪ってくるということだ。
すなわち、ダイヤモンドがあったせいで、シエラレオネは余計ボロボロになっていったんだ。もっと言えば「世界で一番いのちの短い国」平均寿命35歳のシエラレオネがものすごく不幸なのは、「世界で一番いのちの長い国」平均寿命82歳の日本のせいということだ。
俺が今、こうして話していることは、別に俺の思い込みではなく国際的に認知・証明されている。その証拠として、2003年に「キンバリープロセス証明」という制度ができた。国連とNGOたちで作った。これは流通しているダイヤモンドが、シエラレオネやアンゴラなどの戦争になっていないかどうかを証明するものだ。(でも、まだあまり守られていないが。)逆にいえばこの証明がなければ、あなたのお母さんの持っているダイヤモンドは、シエラレオネの戦争の原因になっていた可能性があるということだ。
S: はい。
Y: あなたはきっと最終的に主婦になると思う。だって確率90パーセントなんだよね?(笑)
S: (笑)
Y: たとえ主婦になるとしても、せっかく国際協力の世界を少しは勉強したんだから、世界のことを思いながら買い物をする主婦になって欲しい。簡単に言えば、ダイヤモンドを買うときに、このキンバリープロセス証明があるかどうかを見てから買うこと。
S: はい。
Y: それにより、あなたの好きなシエラレオネで戦争が起おることを防げる。あとはフェアトレード、あるいはコミュニティートレードって知ってる?例えば、あなた大学でブラジルの勉強をするよね?そして、スラム街の子供たちの貧困のレポートを書くと言っていたけど、ブラジルからくるコーヒー豆をフェアトレードで輸入している会社というかNGOがある。ここの商品を、コーヒー豆を購入すれば、その収益の何パーセントかが、そのブラジルの貧しい人々のために還元されるというシステムがある。これをフェアトレードと言うんだ。もし、大学でブラジルのこと勉強するなら、その後、主婦になった時、そういうことに目を向けて欲しいな。
それから、上智大学時代に大学のゼミでカンボジアへ行って、遺跡の修復をしながら現地の人の教育をしたいって言ってたよね?例えばカンボジアではね、手織りものの職業訓練校というのがあって、服やハンカチ、いろいろなものの作り方を教えているんだ。ここでできた商品が、フェアトレードで日本に輸入されている。この商品を買うと収益の何パーセントが地元に還元されて、その職業訓練校や、その手前にいる子供たちのための、小学校や中学校の運営に使われるんだ。わかる?
S: はい。
Y: ともかく買い物するときに、なるべくそういうことにも気をつけて、「いい消費者」に「いい主婦」になってくれたら嬉しいのだけど。
S: はい!
Y: うん。世の中で一番大切なことは、実は国連に入ることでもなく、CAになることでもなく、「考えた買い物のできる良い主婦」になることなんだ。このあたりの詳しいことを知りたければ、是非、宇宙船地球号の補足サイト、プロジェクト「買い物で世界を変える・実践編」の中の「チョコレートの買い方」などを読んでみてね。
S: はい!