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政府機関 03 青年海外協力隊帰国後 女性

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その9. 他の協力隊員と一緒に・・・

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山本 じゃ、戻って3ヶ月過ぎて結構慣れましたと。その後2年間一気にいきますけど、どうしてました?結局。

壽  結局ですね、えーと、私の幼稚園には、あのーポートサイドには、当時4人保育士がいました。ここが難しいんですけど、私一人、変なことできないんですね。突拍子もないこととか。

山本 なんで?

壽  例えば、私は、あのー幼稚園の先生はいいんですよね、私がいるからいいんですよね。他の幼稚園も見たかったんですよ。

山本 はい。

壽  見たいし、その先生たちとも関わりたかったんで、セミナーを行いたかったんです。

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山本 なるほど。学校間をこえるような4、5個集めたね?

壽  はい。でもその2人、ある2人はあまり気乗りがしないんですよ。

山本 4人のうちの・・・

壽  2人は。

山本 はい。

壽  1人はいいんじゃないって言ってくれたんですね。

山本 っていうか、そもそも仲がいいのは?

壽  仲はいいんです。えー、微妙。

山本 4人とも?4人中何人仲がいいんですか?

壽  3人。

山本 あっそ。

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壽  1人はちょっと離れてるけど。でも、こう4人いますよね。(指を使いながら説明)これ私(A)、で、ある人(B)。ここ(CD)の関係はすごい悪いんです。こうでもいいし(ABC)、こうでもいい(ABD)わけですよ。ただここ(CD)だけは悪かったんです。これ私、この人(B)は賛成してくれたんです。この(CD)2人は、うーん、セミナー?うーん、みたいな。で、私たちだけやったら、あのー省庁の上の方の人たちは、じゃ、この人たちはどうしたのっていう風になって。ここで日本人なのか、足並みをそろえなきゃいけない雰囲気になってしまったんですね。で、この(CD)2人が先に、先輩隊員なので帰りました。私たちはよし!ということで、セミナーを開くことができたんです。私たち2人で、まーフットワークが軽くなって。

山本 なるほど。あ、4人ってのは、その保育士の・・・

壽  そうです、全員保育士なんですよ。

山本 これ、グループ派遣だったの?

壽  いえ、違いますはい。

山本 違うよね。じゃ、バラバラで来た人が?

壽  バラバラです。

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山本 いろんなエジプトの・・・、これ、全員ポートサイドに4人派遣されていて、それぞれが別の保育所に派遣されていて、その4つの学校を集めてセミナーをやろうとしたって話?

壽  そこではなくて、そうですね。省庁に頼んで、まーあのーランダムに幼稚園の先生を集めてもらって、そこで私たちはこんな日本の保育がありますよっていう紹介をしたいって。

山本 なるほど。

壽  だから私たちの幼稚園はいいんですよ、それぞれの幼稚園は日本人がいるから。でも日本人がまさかこのポートサイドにいるなんて思ってもいない人たちがいっぱいいるんですね。

山本 なるほど。

壽  だからその人たちにももうちょっと日本を知ってもらおうってことで、セミナーを開きたかったんですけど。

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山本 日本の保育で、あのー特徴っていうか、日本の保育でエジプトでこういう風に紹介したほうがいいって思った部分は何だったんですか。

壽  遊びですね。

山本 どんな?

壽  えーっともう、子どもを遊ばせることが、エジプト人は悪いとは思ってないけど。それよりも大事なのは勉強でしょっていう考えがあるんですよ。

山本 なるほど。

壽  それと・・・(笑)

山本 そっかー。いやオレ、今日NHKでゆとり教育の是非についてしゃべんなきゃいけないから。俺も名に言おうか、困ってんだよ(笑)

壽  そうなんですか、ドキっ!

山本 まーそれは置いといて。

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壽  そうでも、まー先生にもよるけど、んー、勉強の方が大事っていう感じだから。

山本 なるほど、そうなんだ。まー、あまりにも遊ばないと。情操教育的・・・、えーあのー知らないけど、あなたのいた短大とかで、知らないけど、シュタイナー教育とか、モンテッソーリ教育とかの美術とか芸術を使ったやつは触れたりはしてたの?

壽  はい。あの基本的には、彼、彼女は何をしてたかとかの知識だけで、別に何もしてないですよ。それに沿った遊びを私たちが学ぶっていうことはなかったです。

山本 なるほど。まーそれはともかくとしても、やはり普遍的に、その遊びを子どものころに十分やっておくことは、まー心の発育において重要だろうという感じだよね。

壽  そうです、そうです(笑)

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山本 あんまり深い理論的根拠は多分ないけど。まーそうだよね。それ、どうやって説得するつもりだったの?遊びすることが大事って。

壽  とりあえず私たちは、そもそも幼稚園の先生になった人たちは、別に幼稚園の先生になるべくしてなったわけではなく、男性がいない。あのー知らない男性と触れ合う機会がない。っていうので親が、まーそこならいいよって許可してくれた、まー数少ない場所なんですね。

山本 要するに女性の安全な職場だということですね。

壽  そうなんです。だから別に子どもが好きで入ったわけではない。いい子だったら好きだけど、別にまー基本普通みたいな、そんな感じの人たちなので。

山本 あのエジプト人側がね?

壽  はい、はい。なのでそういう人たちの集まりの保育、幼稚園が成り立ってるので。

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山本 それは資格があるの?保育士。

壽  資格がある人もいます。

山本 じゃ、なくても働ける?

壽  はい。研修があったりするんですよ、ちょこちょこと。

山本 なるほど。それさえ受ければ、2週間くらいの研修かなんか受ければなれると。

壽  はい、なれます。研修は別になった後でも、ちょこちょこと3日間くらい行けばいいものなので、はい。

山本 なるほど。

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壽  空きがあれば誰でも働けます、誰でも。だからそのような人たちなので、向上心というものはそもそもないし。子どもにとって何がいいかとかじゃなくて。まー1日安全に子どもがケガを、安全って言うのはケガをせずに、過ごせればいいでしょうってことなので。遊ばせたらやっぱりそれだけ子どもが動くんで危険になってしまうし、そしたら座らせているのがある意味一番安全なんですよ。

山本 それはだけど日本でも同じことが問題になるけどね。日本でも十分に問題になってるけどね。よく、なんかブランコとかに挟まって死んだりとかあるからね。

壽  ありますね。それが抑えてる分、ちょっと遊ばせるとわ〜っと爆発しちゃって。もう、うん、ありえないことをしてしまいますね、普通に。

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山本 それさー、オレなんか悲観主義者だから、基本的に。自分が遊ばせたときに死んだりとかしたら、JICAの青年海外協力隊が園児を殺したって出たりしたらまずいよなって思わなかった?

壽  まずいですよ、その後とか・・・。あ、思わなかったですね。ただ、あのー私と同僚の、私と同期の隊員は似たような保育観を持っていて、子どもは遊びから心身の発達がされるっていうのを思っていたので。

山本 うん。

壽  違うエリア、いわゆる貧困地帯がポートサイドでもあるんですよ。その子たちの保育もしたいねっていって。青空教室じゃないけど、そういうのを開きたいって言って、省庁にお願いにいったんですね。

山本 ほー。

壽  そしたらそこで、もしあなたたちが何かあったら私たちは責任を取ることができない。だからそういう安全面でやめてくれって言われて。だからそういうところで、あのー事務所に相談したところ・・・

山本 JICAの方のね。

壽  そうです。やっぱり私たちに何かあったときに、その今後の派遣にも影響するので、やっぱそこは断念するしかないのかねって言って、断念した経緯がありますね。

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山本 理由はわかった。じゃ普通さ、上層階級と中級と下層があったとして、あなたはどこ?上級でやってたの?中級でやってたの?

壽  中級です。

山本 中級でやってたの。

壽  保育料が払えるだけの生活者なので、対象が。

山本 金持ちではないの、それは?

壽  金持ちではないです。うん。金持ちだったら、もうちょっといいところ行ってますね。

山本 行ってるんだね。でもよくわからない。何かあるってさー、あなたが今、行ってた所でも、あの例えば事故で死んじゃう可能性は少しはあったわけだよね?

壽  あります、あります。

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山本 そこでは死んでも大丈夫で、青空教室で死ぬとまずいっていう理由が、全然わからないんだけど。

壽  やっぱり活動時間なのかな、勤務時間っていうか。でも私たちは別に遊び時間にね、遊びじゃないや、あのーお休みの時間にもやればいいんでしょって言っても。ううん、私たちがあなたの安全、なに・・・、身元引受人みたいな感じだから、変なことはしないでって言われた。

山本 ふーん、なるほど。

壽  なんかそう言われると、うーんそうだねーって言って。じゃあ、もう場所をきちんと決めて、そこに幼稚園の先生を集めてセミナーを開こう。じゃー先生を対象にしてセミナーを開いて、でー日本の保育はこんなんですけど、私たちは子どもが好きでこういう遊びをやってるんですよっていう、遊びの紹介とその中に日本文化もちょこっと入れたんですけど。

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山本 それは折り紙から始まってってこと?

壽  はい、折り紙も入れました。こんなのがあるんですよーとかって。あと日本のおもちゃで、駒もエジプトにもあるんですけど、駒とか、竹トンボとか、そういうのちょっと。あー万華鏡とか、すっごいお気に入りでしたね、エジプト人。

山本 あー、英語あるよね、確か。忘れたけど。凧とかでしょ?

壽  凧はエジプトにもあるので、まーそんなに珍しくなかったんですけど。

山本 なるほど。

壽  そういうものを、はい。

山本 まーとりあえず、そのセミナーを一応やったと。なるほど。

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壽  はい。そこから日本っていうものは、日本がどこにあるかもみんな知らないし、日本と中国は一緒だと思ってるし。大体日本はどこだって言ったら、インドネシアあたりを指すんですね。

山本 なるほど。

壽  うん、そういうレベルなんで、まずは日本に興味を持ってもらって。知ろうと思えば、もう大分インターネットも普及してるんですよ、エジプト。なので、知ろうと思えば、そこから日本の状況、その人たちが後々個人的に探して、そのうち、あー日本ではこんなことやってるんだ。私たちの中でも日本のあーゆーところエジプトでも使えそうじゃない?っていうふうに広がればいいねっていうような、遠ーい思いを抱いて・・・。

山本 やってたと。

壽  うん。

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山本 ま結局セミナーには何人くらい、エジプト人の先生は来たの?

壽  20人です。

山本 20人。あー結構来たね。なるほどー。何歳から何歳くらいの人?女性ばっかりだよね、きっと。

壽  はい、女性ですね。大体23くらいから35くらいですね。

山本 うーん、23から35・・・。独身?みんな。

壽  いや、子ども居る人も・・・。

山本 子ども連れで?

壽  子ども連れの人もいました。子どもも一緒になって遊んでましたけどね。

山本 やった反応はどうでした?

壽  よかったです。

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山本 どのように?

壽  初めて見るもので、彼女自身が子どもに、ある意味童心にかえって遊んでいたけど、私たちが実際本当に教えたかったものとしてはつながってないのかもしれないですね。その保育、もうちょっと専門的な保育って意味では。彼女は私たちが紹介したものに対して楽しんでもらえたんですよ。でもそれを実際幼稚園でそれを持って帰って、現場に下ろしてるかどうか微妙です。

山本 なるほど。

壽  私たちも巡回に行ったんですね。ほら、あなたたちが教えてくれたあれ、やってるわよ!みたいな感じで見せてくれたんですけど、ちょっとなんか嘘っぽく・・・、明らかにここにあると邪魔だよねっていうところに飾ってあったり・・・、私たちが見えるように。こう、ちょっとわざと謳ってるかなっていうのがあったんですけど。まーやらないよりはいいのかねって、うん。

山本 なるほど。はぁ〜・・・(深いため息)。なるほど、深く考えさせられますね。

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