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企業CSR01 フェアトレード マザーハウス 山口絵理子

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その2.生産者と消費者の両方を重視するフェアトレード

小島「大学院に行って勉強したことと現場へ行って見て実際に体験したことは、

自分が会社を立ち上げるにあたって役立っていることはありますか? 

フェアトレードに関して言えば、 理論的な部分はありますが、

こちら側が何とかやってあげようと突き詰めていけばいくほど

現地の人との温度差やギャップ、モチベーションが下がるということを

感じたことは今までにありますか。」

山口「はい、最初バングラディッシュにいた2年間は、商社で働いていて、

大企業がいかに途上国を搾取して利益をあげているのか、

例えばアメリカやヨーロッパの企業の人たちが工場に来るたびに、搾取して、

商品を叩いているのを見てそれを感じていたんです。

一方でフェアトレードの生産者が行くと、あなたたちはお金持ってるんでしょ、

だから私たちを守ってくれるんだ、

そういう意識があるっていうのは、確かに実感していたんです。

なぜこの事業を始めたかとよく聞かれるのですが、

本当によいものをつくったときに、商品の価値なりの

評価をして貰えればと考えるからです。 

   商品の初めての生産が終わって在庫が2ヶ月で全部はけたんです。 

そこで東急ハンズで販売したときのタグと、

お客さんからいただいたメールをベンガル語にして工場に持って行きました。

以前の日経新聞の取材記事も持っていったんですけれども、

みんなの顔がうつっていて、

それを見てアレーってまだホントにやってたんだね?って(笑)。

わかってもらうまでにすごい時間がかかってしまったんですけど、

工場で働く人たちの意識が変わっていくのを感じました。 

以前は妥協して言えなかった事も言えるようになり、

工場で働く人たちとの信頼も少しずつですが築いてきました。

情熱が人間を動かすんだって感じました。

だから信頼関係をもっとつくるためには

フェアトレードを広めていかなければと考えています。」

小島「バングラディシュの大学に行って現地の大学生と学んでいた頃と、

ビジネスでのコミニケーションの違いはありますか。

   学生のころって勉強してればOKじゃないですか。

ビジネスとなると色んな生活もかかってきます。

自分がトップであって社長であるがゆえに、

相手にこうしてもらわなきゃいけないっていうのもありますが、

そのやり取りのなかで苦労した点とか何かありますか?」

山口「工場には、若い20代の子達がいるんです。 

アメリカ人のバイヤーが来たときはちょっとこわごわ、

接していて怒られるんじゃないかとじーっとしてるんですよ。

   私がいるときはわいわいがやがややっていて、

私的なこととかもおしゃべりながら楽しくやっているんです。

それが逆に、マダムなら甘えてもいいやみたいな感じでなってしまいそうで。

出来たものが満足のいくものではなかったときに、

みんなのことをすごくかわいくて言いたいことが言えなくなる事もありました。

しかし、お客様に提供する商品に対しては

妥協しないっていうのは決めていています。

ごめんねって言って、やり直しをしてもらって、また持ってきて、またやり直し、

それを何十回も繰りかえさなくてはならなくてそれが一番辛かったです。」

小島「バックの内側のそのしつけだったりとか、

他のブランドがどの様に縫製されているかを見せたりするんですか。」

山口「はい。日本でも高級と言われるものを全部持っていって、

これがお客さんが求めてるものなんだっていうことはやりました。

最初は裏にあるポケットの役割がわかってもらえなかった。

今までオーダーが来て、その数をこなすだけで一日何千個という様に、

ロボットのような感覚しかなくて

その先にお客さんが持っているんだっていう感覚が全くなかったんですね。 

お客様がバングラディッシュの工場で是非、見せてくださいとおっしゃって

写真をメールで送っていただいたりしたものをみせたりしました。

すると、自分たちの作った商品をお客さんが持ってるという、

意識が芽生えてきて少しずつ理解してくれました。」

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