NPO法人 宇宙船地球号 補足サイト

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民間組織 01 国際環境NGO FoE ジャパン 野口栄一郎さん、35歳、男性

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インタビュー:黒川

書き起こし:海老原、深井

文章校正:山本、ご本人

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パート11.<ロシアでの活動〜今後の展望〜>

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野口 しかも、そのうちのー半分以上は、もう「都会ウデヘ」、「アスファルト・ウデヘ」になっちゃってるんですよ。うん本当にもう、この、今写真で見てもらっている森林地帯で、えータイガの歩き方を知ってる、猪とか獣の獲り方。どこでどうやって待ち伏せするか、夏はどうやって獲るか、冬はどうやって獲るか、あと獲った猪や鹿。肉を腐らせないで、あと食えるところと食えないところを分ける、皮をはいでナイフで切り分ける、斧で脚をたたき折って、で食えるところと食えないところを分けて、食えるところを腐らせないで村に持って帰って、家族に食わせる。それができる男、別に男女差別じゃないですけど、大体そこまでいくと肉体労働ですから、男になるんですけど。そうするともう数十人しかいないんですよ。

黒川 うーん…。

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野口 その数十人が、受け継いで守ってるライフスタイルが、今から10年後、20年後に消えちゃうか。この地球上から消滅しちゃうか、失われちゃうか、それとも選択肢として残るか。リコーさんとFoEジャパンの(プロジェクトが)、この南関東と同じくらいの面積の森林地帯を伐採から守れるか。

黒川 うーん。

野口 願わくば世界遺産に登録、できるかにかかってますね。ただし、えー、リコーさんとFoEジャパンだけで、リコーさんも日本の企業だし、FoEジャパンも日本の団体ですんで、だけでやれることではないんですよ。それは僕らには、このプロジェクトは、現地カウンターパートがいて、つまり、ロシアのNGOなんですけども。ウデヘ族のNGO、ウデヘ族がつくったNGOや、それから、ロシア人がやっているロシアのNGOのカウンターパートと協力して活動します。

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野口 なので最終的にはね、この国の人たちが、生きている人たちが、それから、ロシアの環境団体の頑張りが、未来を決めるんじゃないかと思いますけどね。そこで、日本のNGOとか企業が、一緒に手伝えることが必ず、ここに書いてあるようなことですけど。で2005年、2006年、2007年とやってきましたけど、ただ単にお金を出すだけじゃない。

黒川 うーん。

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野口 それから、ここに伐採企業が来たい、って言ったときも、それからここを世界遺産にして将来残しましょうよ、ってときも、ロシアだけの問題じゃないから。例えば日本の新聞が記事を書いてくれる、テレビが撮影して番組を作ってくれる、手伝ってきましたけど。そうやって日本で新聞記事になること、日本でテレビに流れて知られることっていうのも、ここのウデヘの人たちにとっても、あのー、助けになるっていう。

黒川 うーん。

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野口 これで、ロシアのここに、こういう森があって、トラがいて、ウデヘ族っていう人間がいるってことが、新聞とかテレビで、日本の人にちょっとでも知られてったら、「伐採しちゃって、全部日本の住宅の材料にしてしまえ」って考える人が日本で減るかもしれないし。また、世界遺産って話になると、つまりロシア遺産じゃなくて、ロシアの国の遺産じゃなくて、ロシア人も日本人もアメリカ人も、みんなにとっての遺産っていう話になるんで、やっぱりここは面白い場所だなーとか。残しといた方がいいよね、とか。いつか自分もツアーで行ってみたいなって思う人が、ロシアの外に増えていくってことが、ウデヘの人たちにとっても、多分「ありがとう」ってことじゃないかなって気がしますね。

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野口 それを、日本の企業であるリコーさんとか、日本のNGOであるFoEジャパンが入って、「一緒にやりましょう」って言っている、そういう時代なんじゃないかなーと思いますけどね。まー、リコーさん的には、世界、地球上の森林生態系、熱帯でも、それから北でも、それから日本国内も、なるべく素晴らしい場所を残したいっていう目的が達成されればいい、と思っていると思いますけどね。これ現在進行形の話なんで、to be continuedですね。

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黒川 うん(笑)。あくまで森林の保護なんですね。

野口 そうです。そういう風に、捉えて書いたりして下されば、全然問題ないですね。元々自分たちが目指しているのは、それは「森林生態系を残すこと」です。ただしそれが目的なんですけど、残すときに、ここで生きてきたウデヘの人たちが納得できる、ここで生きてきたウデヘの人たちが悔しい気持ちになったり、後で悲しくなったりしないような、いい方法でやると。そうです、目的は森林生態系保全なんですけど、(その)やり方(が問題)で。森さえ守れれば、伐採阻止して世界遺産にできれば、別にあのー、ここのウデヘの人たちが、鹿とか猪とか森に獲りに行けなくなっても、鹿とか猪の肉が食えなくなっても、いいや、森さえ守れればっていう風にはしないですねって、話して決めたんですよ、そのリコーの人と。

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野口 なので、ただ森林を守る、ただ自然を守るだけっていうよりは…、まーあえてハンデを背負ってやる。

黒川 うーん。

野口 っていう風に、あえてそのー、パワーリストとか、腕に重たい鉄の「わっか」とかをはめて、走ってると思ってもらってもいいんですけど。

黒川 うーん。

野口 実際にここの森林地帯を、先住民族の気持ちとか考えとか考えないで、ただ森林地帯として守ろうっていうアプローチの団体もあったりするんですけど。でもそれはやめようっていう。ウデヘの人たちと話し合いながらやっていこうって。

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野口 でもあんまり足かせだと思わないですよ。僕らはむしろそっちの方が面白いし、ウデヘの人たちも、納得して生きていける方が面白いし。あとー、このね、南関東と同じ位の大きさの森林地帯を今度世界遺産にして守っていこうってしたときに、一番、地理とか自然とか、誰よりも知ってるのはウデヘの人たちなんですよ。

黒川 うーん。

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野口 ここを世界遺産にしたい。で、世界遺産にしたんで、密猟とかないようにパトロールしましょう。よそからレンジャー呼んで来てね。よそから呼んで来たロシア人、まー別にロシア人でもいいんですけど、よそから呼んできた人間だけで守ろうとするより、元々ここで何百年、生きてきたウデヘの人たち、この土地とか自然に愛着のあるウデヘの人たちが、レンジャーとして守る仕事、やってもらうのが一番いいんじゃないかと。地元の人に(仕事を)ねっていう。全然、このプロジェクトをやっていく上で。まー動機はウデヘの人たちと。

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野口 あのー、存在が、なんて言うんでしょうね、邪魔だって思ったことはないんですけど。

黒川 うーん。

野口 こうやって一個一個、行程についてはどう思いますかって聞いて、一つ一つやっていくのは、時間がかかるなーって。あとそれから、自然守って終わりっにする活動よりは、なんか人間的な付き合いが多いなって思いますけど。

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