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国際機関 02 国連 Peece Keeping Best Practice 勤務 小野京子さん

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12/5/2006 at New York
インタビュアー:ETSボランティアスタッフ山賀緩子(ヤマガヤスコ)
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世界の紛争地帯に派遣される国連平和維持軍(PKO)のヘッドオフィスである、
ニューヨーク国連本部Peacekeeping Best Practicesに、
2006年秋、赴任された小野京子さん。
今回は、まだ赴任されて間もない小野さんの貴重なお時間をいただき、
これまで歩んでこられた道についてお話をうかがいました。 
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■ 第三章 ■ インターンと二つの大学院

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返事が来るまでの忍耐の日々

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山賀: 日本で卒業したあとはすぐに大学院へ?

小野: ええっと、大学3年の終わりに就職活動を始めたんですよ。周りに流されてというか、まあ、当たり前のように。それでみんなで資料請求のハガキを出すんですよ。いまはみんなネット上ですけどね。それを何社かやり始めたんですね。それがすーごく…、あのう…、面接会場に行ってグループ面接受けてきたりとか、説明会行ったりとか、何回か足を運んだんですけど、全然しっくりこなくって。「なんか違うなあ」と。「すぐに何かしたい」というよりも、「勉強に行こうかな」って漠然とした思いがあって、それで一切就職活動やめちゃったんですね。

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小野: で、まあ、財政的に自分でできるわけがないんで、父に、「大学院に行きたいんだけど」って言ったら、次の質問は、「お金は?」って(笑)。そういう現実に直面して。それで、「ロータリー財団」って奨学金を出すことによって留学を支援してくれる組織があるんですけど、自分の住んでいる東京の地区に(申込書を)出したら受かって。だからいける方向になって。

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山賀: ロータリー財団というのは?

小野: ロータリー財団というのはアメリカに本部があるのですけど、資金調達なんかは各支部でやっています。で、それで奨学金いただけることになったんですが、大学院の始まる時期と若干ズレがあったので、父がそのときニューヨークにいたので、インターン(会社・財団・NGO等で無給で働く研修制度)として社会人経験というか、いろいろな経験を積もうと思って、ニューヨークに来たんです。

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小野: ところが、ニューヨークに来て誰も知らなくて、いきなりインターンなんてやらせてくれるわけないんですね。あのときはもうどうしていいのか…。国連は大学院在学中じゃないと、インターンは受付けない、それからNGOだとかシンクタンクだとか、とにかくいろんなところに申込みました。結局3ヵ月たってやっとインターンが決まったんですけど、それまでの期間は本当に辛かったですね。ドアを叩いても叩いても、電話してもメール出しても…反応がないわけですから。

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山賀: コネクションがないと厳しいでしょうね〜。

小野: 本当に。あれは大変な3ヶ月でしたね。この時の経験が自分の今のベースになっているなって気がするのが、なんかこう、「種をまく」ということを覚えましたね。

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山賀: それで、最初のアメリカでの、大学院に入る前のインターンはどんなところで?

小野: 全部で3つあるんですが、まず1つ目。大学院では、引き続きコミュニケーション学を学ぼうとしていたんですけど、インターン先としてこっちでマスコミ系に行く気はなくって、アジア関連の財団などに興味がありました。それで、いくつか門を叩いて結局、アメリカにある「アジアソサエティ」というところで3ヶ月くらいやりました。

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小野: それから2つ目に、「Council on Foreign Relations」。日本語で言うと、「外交問題評議会」ですかね。あのー、有名なのが「Foreign Affairs」という雑誌を出している機関なんですけれども、そこでは結局7ヶ月くらいいたでしょうか。そこで北朝鮮の問題がすごくホットだったので、働いているリサーチャーの手伝いをしました。

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小野: 3つ目としては、そのとき国連の代表部に応募して、国連のミーティングに出席してノート取ったりとか。

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山賀: それはマスター(大学院修士課程)にいる時の話ではなく?(※国連のインターンは普通、大学院在学中の学生をとる)

小野: 修士課程に入る前の話です。ちょっと人探しているって聞いたんで。まあ、インターンというかちょっとしたお手伝いですね。そこで結局5ヶ月くらいやったのかな。いろいろ結構掛け持ち。ここ週何回、ここ週何回って。で、それを5ヶ月やりました。

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山賀: トータルで1年近く?

小野: そうですね。でも、ほんと、最初の3ヶ月は門叩き(笑)。あれは辛かった。

山賀: 忍耐の日々!

小野: 将来の方向性もどうなるかわからないし、目先のこともどうなるかわからないし。

山賀: 誰からも返事は来ないし(笑)。

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イギリスで方向転換!

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山賀: インターンが終わって、いよいよ大学院のスタートですね。そのままニューヨークの学校へ?

小野: それが私、大学院はイギリスに行ったんですね。そのロータリーの奨学金で。その頃、私はアメリカの、ニューヨークにあるコロンビア大学の大学院を受けて受かっていたんですが、ロータリーが…まあ、正しいとは思うんですけど、そこの国に住んでいたことがあったら、そこで奨学金が出せないっていう決まりがあって、「アメリカの大学院にはお金を出さない」って言われたんですよ。

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山賀: 前に住んだことがあるから?

小野: そう。ロータリーの理念としては、日本文化を紹介するっていうのもあるんで。で、あとは知らない文化に接する。その理念に基づいて、アメリカはもう知っている土地だからダメだって言われて。それで私、結局イギリスに1年、そのロータリーの奨学金を使って行きました。イギリス北部のヨークシャーというところのリーズ大学(Leeds University)というところを指名されて。

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小野: で、最初はコミュニケーション学をやろうと思っていたんですね。ところが、授業を受けていて、あんまり面白くなかったんです。「んー」と思って、その時にたまたま国際関係の授業を聴講したのが面白くて、いきなり「ぷいっ」と専攻を変えちゃったんですよ。入学して2、3週間くらいで。

山賀: ええーっ、入って2、3週間で?それはなんていう学部になるんですか?

小野: 国際関係学(International Studies, MA)。結局それで卒業しました。

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山賀: しかし、ロータリーが学校まで選ぶんですね?

小野: いくつか可能性のある学校をリストアップするんですよ。でも、同じところに同じ人を送りたくないので、最終的には「ここへ行くように」、と指名するんです。

山賀: それに従わなければいけないんですね。

小野: そのときはすごい抵抗したんです。コロンビア大学大学院に受かっていたから、私はそこに行きたいと思って。でも振り返ってみるとイギリスで勉強したことはすごくよかったです。

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山賀: それは、方向(専攻)が変わったから?

小野: ええ、方向が変わったし、それまでは中東にも少しいましたけど、アメリカ的な学校での勉強だけだったので、やっぱり「アメリカが世界の中心」という見方を自然にしていたんですね。だからヨーロッパ、イギリスの視点から教育を受けられたのは貴重でした。

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山賀: それで、イギリスのあとは?

小野: コロンビア大学大学院へ。保留していたので。

山賀: では、インターンでニューヨークに滞在中にコロンビア大学を受験していたんですね?

小野: そうです。実は、授業もすでにパートタイムで、2つかな、取っていたんですよ。インターンしながら。かなり忙しかったです。わけのわからない課題をよこされたり(笑)。

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山賀: で、またコロンビア大学に戻ってどのくらい勉強されたんでしょう?

小野: すでに、マスターをイギリスでひとつ取っているんで、1年で終わらせるつもりだったんです。でも、結構面白かったんですね。結局、2年いて、国際関係学修士(MIA/Master in International Affairs)を取りました。私がやっていた分野というのは開発経済。あと、紛争予防とか。

山賀: そうすると、だいぶコミュニケーション学から…。

小野: 離れましたね〜(笑)。

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山賀: 在学中にどこかへ行きました?研究や研修?海外に行って卒論のためのリサーチをするとか。

小野: 行ってないですね。ずっとニューヨークベースで。で、在学中のインターンも実は国連本部でやったんですよ。選挙監視の部署でインターンを夏休みの3ヶ月間やって。

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山賀: では、もうコロンビア大学にいる頃には「自分の働く道はこちら」っていうのはもう?

小野: 分野としてはわかっていたんですけど、「どこで」というのはまだ決まっていなくて。日本政府でもありえますし、国連でもありえますし、私企業もありますし…。

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