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  g. 卒業後の進路、会社遍歴、海外旅行、国際協力活動

 大学卒業後は東京で消防の仕事を8年間続けた。ちょっとあこがれていた研究所という所でも勤務したし、いくつかの消防署にも勤務した。一般には消防って「火事場で火を消す」というイメージしかないと思うけど、結構仕事はあって、簡単に言えば「火事にならないようにするには」という「防ぐ」ために働く分野もかなり重要な仕事なのだ。東京ではかなりの女性の消防官が存在していて、最近は救急隊員や消防隊に属して現場に出動している女性もいるらしい。僕がいた頃は月に数回、消防署に泊まって火事や事故等があった時に隊員と共に出動し、現場で情報収集をしたり写真を撮って記録を作ったりもしていた。結構な回数出動したし、そこでいろんな現場を見せてもらった。想像を絶する場もあったし、「なんでこうなるの?」と大笑いする場面にも遭遇した。これまで何度もおしゃべりのネタにさせてもらったし、今思い出してもいい経験をしたなぁ、と感じる。なかなか経験できないことだもんね。

 この仕事をしている間に、夜間の大学院にも行くチャンスがあった。たまたま新聞で見つけた「社会人のための大学院」の募集に応募してなんとか合格予備軍に引っかかり、結局入学できた。ラッキーだったよね。専攻はカウンセリング。社会人が学生だから、いろんな年齢層で様々な職種の人達が集まった楽しいクラスだった。仕事が終わってからの授業だけど、みんな真剣に勉強をしたい人達ばかりだから、大学生時代のように「出席だけしておけばいいや」なんて考える人はいなかった。それぞれの職場で抱える心理学的問題と結びつけて真剣になることもあれば、時にはおしゃべりでそれぞれの仕事の暴露話をして「へぇっ」と知らない世界を覗かせてもらったりしたから、楽しみながら勉強できた。ここでの経験はとても貴重だったので、皆さんにも機会があれば是非お勧めするよ。最近は社会人対象の学科や学校も多くなってきているし、改めて勉強したい人には絶好のチャンスじゃないかと思う。

 それまでは「英語なんて日本では必要ないし、ホントに英語を勉強したいなら海外で生活すればできるようになるはず。僕は日本にいるから関係なし。」と思ってずっと放っていた。30歳を目の前にして、ワーキングホリデー制度のことを知り、そのころはニュージーランドが30歳までそのビザが取れる国だったので、「まあ、英語ができなくても行ってみるか。今しかビザは取れないし。」という考えがフツフツと浮かんで来て、結局それまでの仕事を辞めたんだよね。まあ、それまで仕事に対して不満やストレスもあったから「いつか辞めてやるぅ」という気持ちもかなりあったけど。だから「じゃぁねぇ」といった感じでニコニコ辞めて、そのままニュージーランドに行った。

 行ったらやっぱり英語ができないから始めはかなり大変だった。ホントに「ハロー、マイネイムイズ・・・」「ハワイユー」くらいしか口から出てこなかったから。外国人が話す英語なんて何を言っているのか全くわからなかったので笑ってごまかすばかりだった。でもニュージーランドは過ごしやすい国だったし、3ヶ月ほど語学学校へ行って「外国人恐怖」は少しずつとれていったし、その頃にこれは「慣れが大切」なんだと思った。言葉がわからなくても、毎日同じ道を歩いて、いつも同じスーパーに買い物に行って、時々バーに行ってビールを呑んで、っていうのを繰り返していると、いつの間にか「状況がつかめてる」とか「それなりになじんでる」っていう気分になる。同じことをしているだけなのに、自分は「結構できるじゃん」みたいな錯覚が出てきて、いつの間にか緊張が楽しみに変わったりした。今でも僕はろくに英語が話せないんだけど、言える事は、外国人や外国文化へのおびえや緊張感がない、つまり慣れる、ということは海外で生活する上でかなり大切なことじゃないかということ。「話せないから、初めてだから恥ずかしい・・・」という気分がなくなれば、上手に話せなくても海外で十分生きていける、ということかな。

 実はそれまで日本で250ccバイクに乗っていて、日本ではいろんな場所にツーリングに行ったりしてたから、「ニュージーランドでバイクに乗って旅ができたら最高だろう」と思って大型二輪の免許も取ってから行ったんだけど、結局海外進出は実現しなかった。世界で日本が一番バイクの安い国だってことを後で知ったし、お気に入りのボロ車を購入してニュージーランドを1周しちゃったからね。

 ワーキングホリデービザは許可されている1年の間に自由に他の国にも行けたりするから、それまで全く知らなかった南太平洋の国に行ってみたりした。そのころはフィジーさえも知らなかったんだけど。その時はハワイ、クックアイランド、トンガ、ニウエ(かなりマイナー。知っている人の方が少ないはず)なんかに行ってみた。クックアイランドはその時はホントに好きになって、数週間の滞在のはずが2ヶ月近く居てしまったんだよね。毎日自転車で1時間かければ1周できる島をノロノロと走り、会う人と挨拶をしながらまわって、お決まりの海岸でひとりボーっと海岸線を見ながら「やっぱりいいなぁ」なんてひとりで満足しながら過ごしてた。その国では、小さな自家用ヨットを操りながら旅行している日本人夫婦に出会って「ああ、こんな人生もいいよなぁ」なんて思ったし、「南の国はやっぱりこれだよなぁ」「僕は南の国に合ってるかも」なんて勝手に満足しながら過ごした。ここでの滞在が、それから先の南太平洋とのつながりのきっかけになったと言えると思う。

だから、これまで行ったことのある外国は南太平洋がほとんど。これまで他の南太平洋諸国ではキリバス、サモア、アメリカンサモア、ツバル、パラオへ行ったことがある。そしてオーストラリアくらいだもの。偏ってるよね。

 国際協力については、自分が関わるなんてそれまで考えたこともなかった。英語もろくにできないし、自分にできることなんて思いつかなかったから・・・。
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h. 現在の組織を見つけた経緯、就職条件、その対策

 ワーキングホリデー制度で1年間楽しませてもらって日本に戻ってきた。久しぶりに同級生と地方の温泉でも行くか、と1泊旅行をした時、地方の駅に貼ってあったポスターのひとつが青年海外協力隊募集のポスターだった。偶然、というか、やっぱり無職だったから自然と目が行ったというか・・・。青年海外協力隊という言葉はそれまでに何となく聞いたことはあったけど、本気で考えたことはなくて、「これでも受けてみるか?」程度ののりで資料を集めた。申請時に希望職種欄を決めなければならないんだけど、自分の持っている数少ない資格がろくに当てはまらないので結局、「無資格、無経験でも応募できる職種」っていうやつに応募してみた。そして何とか合格。

心理学が使える仕事ってなかなか無いし、僕はこれまで心理学を使って仕事をしてきた訳でもなかったから経験もなく、応募する時は「いやぁー、僕って何もできないんだなぁ」ってその時は痛感した。まあ、幸いに資格が無くても、そして専門の経験がなくても応募できる職種というものがあったから良かったけど。正直言って「消防の仕事をしていました」なんて言っても、再就職にはほとんど役に立たないし、「へぇ。だから?」って言われるのがオチ。

 実は教員免許も持ってるんだけど、これもまた「持ってる」だけで経験もなく、使えない。やっぱり「実務経験」って就職をするのにかなり重要だなって感じた。何でも経験しておくべきだ、と。履歴書にも書けるし・・・。アルバイトやちょっとしたお手伝いなんかする時に「自分は何をやっているのか」「将来どんなことに使えるか、どこが役に立ちそうか」をちょっと考えながら働くと、あとで思い出す時にかなり役に立つんじゃないかなぁ・・・。どんなアルバイトでも、例えば「(メニューを)覚えるのが得意です」、「(マニュアル通りに覚えて)ハキハキ話せます」とか「(すぐにできる料理の)レパートリーは豊富です」とか「お客さんが(何を買いたがっているか)何となくわかります」とか。小さな得意はその人の特技や才能に大いに結びついていると思う。大げさに考えなくても案外そこらへんに才能が転がってたりするもんじゃないかと思う。僕の場合は「時間を守ります」「“自分流”を作るのが好きです」かな・・・。

I. どのような方法で、現在活動している組織に入ったか?

  a. どうやって、その存在を知ったか? 具体的に。

 青年海外協力隊員としてフィジー感染症対策という職種で働いていた頃、関連するもうひとつの組織で日本人が活動していたんだよね。そこでUNV(国連ボランティア)という言葉を知った。最初は全く関心がなかったけど、その人が日本人で、同種の活動をしていたので、いろいろ話を聞く機会があり、少しだけその組織のことを知った。
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  b. その組織に入るための最低条件(資格、その他)は?

 僕の場合は、例の日本人UNVが後任を探していて、それまで青年海外協力隊員として活動していた内容が活かせる仕事だった(内容を知っているからゼロから学ばなくてもよかった)し、任期がお互いに都合良かったから採用され易かったんだと思う。特に決められた資格の取得や経験はないと思う。UNVへの申請条件として「海外で活動経験がある人」というのはたぶんあったんじゃないかなぁ・・・。僕は海外青年協力隊員として活動経験があったのでそれを利用した。あとはやっぱり語学力って言われるよね。英語ができた方が仕事もやりやすいのはご想像の通り。英検とかTOEIC等の成績は一つくらいあれば履歴書に堂々と書けるよね。僕は全くなかったけど・・・。
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  c. 採用されたことに関連ありそうな資格、経歴は?

 やはり海外活動経験(僕の場合は海外青年協力隊員経験があったこと)じゃないかな。企業で海外勤務経験を積むのも他の方法かも知れない。学生がアルバイトや休学して経験を積むというのも手っ取り早い方法かもしれないし、無駄がないかもしれないけど、最近感じるのは「社会人経験がある人とない人では違いがあるんじゃないか」ということ。人間的なゆとりや状況への適応性、そして人間関係をうまくこなすテクニック等を持っているのは社会人経験がある人の方が多いと思う。日本では中途採用や空白期間があると良い仕事につけない、という変な考え方が根付いているから、なかなか「ちょっとやってみよう」という考えにならないのは正直なところだけど・・・。
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